謝罪
そろそろ仕事探しをしようと思う。
心が動き出した。
と...その前に...やるべき事が...
謝罪である。
以前、働いていた時に色々あって、大変ご迷惑をおかけした人達がいる。
べつに何か事件を起こしたとか、とりかえしのつかない問題が発生したとかではないが、明らかに僕の力不足で大変迷惑をかけてしまった。
もうあれから2年も経っているので本人達も覚えているかどうかわからないが、僕が僕自身にけじめをつけるために頭を下げに行きたかった。
謝らないといけないというより、謝りたいといった感じである。
次に進むにあたり、素直に謝りたかった。
それ以外のなにも入っていない。
会社にいるかどうか確認してから行こうと思った。
...かけられなかった。
差し入れのてんぷらを買い、直接向かう事にした。
車があった。
いる。
だけど、面会に行く前に電話一本入れるのは社会的礼儀である。
謝りに行くのに、また嫌な思いをさせてはいけない。
一度そこを通り過ぎて、近くの広場に車を止めた。
携帯を手に持った。
手が油汗でビッショリだった。
緊張してかけられなかった。
なんて言われるかなぁ...
嫌な顔されるかな...
よそよそしかったらどうしよう...
気にしすぎかな...
今さら謝る事でもないかな...
そんな事が心をよぎる...
何度か携帯を手にしたが、結局そのまま30分が過ぎた...
中学生の告白する時みたいだったと思う。
天婦羅を見て、再び携帯を手にした...
かけた!
「はい○○です」
「あっあの私、前堂と言いますが○○さんいらっさいますか?」
「はい、少々お待ち下さい」
やばいっ緊張MAXである
「はい、○○です」
「あっどうもお久しぶりです○○の前堂です。」
「あ、お久しぶりです...お元気ですか...」
やばい、めっちゃひいてる
「あの~最近ヨーロッパから帰ってきたので、挨拶もかねて差し入れ持ってきたんですよ、今、近くにいるんですけどお邪魔させて頂いても宜しいでしょうか」
「あ...しばらくいるのでいいですよ」
すぐに向かった。
謝った。
コーヒーを飲む手が震えた...
「あ~あれね。いやいやべつにあれは前堂さんが悪いんじゃないですよ~。それよりヨーロッパどうでしたか?天婦羅ありがとうございますね。」って言って下さった。
どこからどう考えても、俺の力不足なのに...本当に大人だと思った。
もう一人担当していた方がいたが見えなかったので聞いてみた。
「あと...○○さんもいらっしゃいますか?」
「あ~彼は今○○支店に行ってますよ」
即行、その支店に向かった。
彼は笑顔で迎えてくれた。
心から謝った。
「あれはお前が悪いんじゃないし、誰でもあの状況をどうにかするのは難しいよ~」って同じような事を言ってくれた。
神様に見えた。
いや
神様だ。
帰り際、「前堂ちゃん、今度飲みに行こうな~」って言ってくれた。
昔は前堂ちゃんだったんだけど、その事があってからは前堂さんと呼ばれていた、だけど昔のように前堂ちゃんって呼ばれた。
うれしかった。
うれしかった。
うれしかった。
うれしかった。
☆☆☆本当にうれしかったぁぁぁあああ☆☆☆
2年間、心のどこかで持ち続けていた申し訳ないという気持ちが晴れた気がして、本当に素直に謝って良かったと思った。
だけど...実は...明日もあるんだ...